** 結城の苦悩 **(呉羽×結城)

 

「俺さ、仁のこと好きかも」
結斗がいきなりそんなことを言い出した。

「はぁ?何言ってんだよお前」
そんな結斗に冷静っぽく返した俺だけど、内心かなり焦っていた。
心臓はバクバクいって、結斗に聞かれてしまうんじゃないかというくらいだ。

「だからさ〜、仁のことが好きなんだってば」
「あーそうかよ。ありがとな」
こいつのことだ、どうせ冗談なんだろう。本気にしちゃ駄目だ。

それにしても心臓の音が静まらない。早く静まれよ。結斗に気付かれちまうだろ。

「違うって。ホントに好きなんだって」
そう言って結斗は顔を近づけてきた。

え、ちょ、近いって!!余計に心臓が高鳴る。
早く、早く離れろって。どうにかなっちまいそうだ。

「冗談は止めろよ」
ほら早くどけよ。と俺は結斗から離れようとした。

でも結斗はそれを許さなかった。ぎゅっと腕を引かれたからだ。

「冗談じゃない。俺、仁のこと好きだよ」
真剣な目で見つめられた。結斗のこんな目を見るのは初めてかもしれない。

「何言ってんだよ。大体、お前はあの直って奴が好きなんだろ」
『直』と口にしてズキっと心が痛むのが分かった。

春日直・・・結斗が最近手を出している奴だ。
小さくて、女みたいな顔して、でも性格は最悪で、だけど結斗はそんな春日直に構いまくって・・
最近じゃちょっと話せば「直ちゃんが冷たい」だの「今日も直ちゃんは可愛い」だの
直、直、直。
結斗はあいつのことばかり喋る。

だから、今回だけは本気なんだなって思った。

俺が入る隙間なんてこれっぽっちも無いって思った。


「直ちゃんのこと?あれは遊びだよ。俺がホントに好きなのは仁だけ。」

「え?」

う、嘘だろ?だって、だって・・!
俺は混乱していた。思考が回らないというのはこういうことを言うんだ。

そんな俺に、結斗は手を俺の胸にあてて

「心臓、ドキドキ言ってる。そんなに緊張してんの?」
意地悪い表情(かお)をして言う。

う、うるせぇな。緊張するに決まってんだろ、この馬鹿野郎。
そう言ってやりたかったけど、声に出来なかった。

そして結斗は、その手を俺の頬に移し



「仁は、俺のこと好き?」
と、そんなことを聞いてきた。今度は熱を持った眼差しで。



結斗のこと?

「俺も・・・」


俺も、俺も・・・

結斗のことが・・



仁・・・仁・・・

ん?誰だよ?

仁・・仁・・

うるせぇなぁ・・



「仁!!早く起きなさい!!」
「うっわっ!!??」

俺は怒声に飛び起きた。

・・・・?

ゆ、夢・・・?

「いつまで経っても起きてこないんだから!」
まったく、さっさと学校行きなさい。と母さんが部屋から出ていった。


「夢・・・か」

あの結斗の告白も

あの熱い眼差しも

全部夢。

それに俺、なんて言おうとした?


結斗のこと

結斗のこと好きって・・・

いやいやいや!!俺は女が好きなんだ!

どうしたんだよ俺!正気に戻れ俺!


・・・はぁ


「結斗にどんな顔で会ったら良いんだよ・・・」


学校、行きたくねぇなぁ。

 



***あとがき***

はい。呉羽×結城で御座います。

小ネタのつもりで打ち込んでいたらいつの間にか長くなってたという・・
夢オチとか在り来たりな感じですが
やはり現実じゃないなぁと思いこんな感じになりました。

結城の苦悩はまだまだ続きます。

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